むし歯の治療した後にどうもかみ合わせがおかしいです?

回答:噛み合わせは0.05mmのずれで違和感を覚えるものです。歯の感覚は、極めて鋭敏で繊細なものです。歯科医が丁寧に精密に調整しても最初は違和感を持つことがおおいです。ほとんどは一時的ですが2-3日しても感じるようなら再調整してもらいましょう。

0.05mmと言われても小さすぎて想像しにくいでしょう。お食事中、リズミカルに咀嚼していて何か違和感があり、口の中から髪の毛が出てきたなんてことはないでしょうか?実は髪の毛の直径を考えると私たちのお口は髪の毛の半分以下の大きさの物すら検出できるようになっています。

たとえば、むし歯などの治療で歯を削り、型をとり新しい詰め物をしたとします。そのときにしっかりとったはずの詰め物の噛み合わせに違和感を覚えるケースがあります。

噛み合わせというものは、全体の歯で均等に力がかかるように調節されています。ですのでたった1本、以前より少し高さが変わるだけで全体のバランスを崩してしまうのです。

また、部分治療を繰り返していると一回の治療ごとにマイクロ単位で噛み合わせがずれ、何度も治療をしているうちに、積もり積もってずれが大きくなることもあります。

噛み合わせを侮ってはいけません。不具合を放っておくと顎に余計な負担がかかってしまい、顎に痛みを抱えたり、顎関節症を発症したり、頭痛や肩こりを引き起こすこともあります。

噛み合わせが悪いと、食事のときにどちらか片方だけで咀嚼しがちです。片方噛みを続けているうちによく噛む側の筋肉ばかり発達し反対は萎縮するため左右の筋肉の厚さが変わってしまい、顔の歪みの原因になることもあります。治療を終えて噛み合わせに違和感が残る場合は、ためらわず歯科医にご相談ください。

治療後は歯の上に歯と違う材質で出来たものに置き換わることが多いので硬い感触を高いと感じることが多く、詰め物の高さに問題なくても一時的に高く感じることはよくあります。「硬い感じしますよ!」と患者さんにはお伝えしています。

では、すでに噛み合わせがずれている方の治療はどうするのでしょうか?噛み合わせが悪いからといって安易に歯を削ることは望ましくありません。削るという行為は元に戻れない行為だからです。

まずはどこに原因があるのかを探るために、マウスピースに似た装置(スプリントと呼びます)を就寝中つけてもらいます。これには筋肉の緊張を解く作用と正しい顎の位置を探す作用があります。現在の噛み合わせをリセットする装置で、顎のコリや痛みを改善させることが出来ます。顎のコリをとってどこの噛み合わせが正しいかを診断したうえで、少しずつ調節していきます。歯科医が噛み合わせを決めるのではなく、患者さんの楽な位置に誘導して正しい顎の位置にもどしていくのです。