保険治療と自費治療の入れ歯の違いを知りたいです。ますか?

回答:それぞれのメリットとデメリットと、自費治療ならではの特徴をお話しましょう。

保険の入れ歯と自費の入れ歯の一番の違いは負担する費用の違いと単純に解釈される方もおおいでしょうが、最大の違いは「最終ゴール」です。最終ゴールを高くするか最低ラインにとどめるかの違いと解釈してください。最終ゴールとはみなさんそれぞれの機能、見た目、費用などから選択することになるかと思います。簡単に2つの違いをお伝えするなら下のようになります。

保険治療の入れ歯:安価で最低限痛くなく噛める入れ歯

自費治療の入れ歯:目立たず噛みやすく、長持ち、不快感少ない

保険治療では、いくつかの治療に限界があります。一方で自費治療の入れ歯には、別名自由診療と言われるように、何でも制限なく自由に材料や方法を選択できるため、様々なこだわりが反映できるメリットがあります。

①材料が制限されない

保険治療の入れ歯は国から使う材料が指定されています。入れ歯が基本プラスチックでできていますので、剛性(強さ)が弱く、たわみが大きいので、ぴったり合っていたとしても噛むたびに微妙に揺れがあり、留め金がかかっている歯を揺らして負担をかけます。噛みづらそうだなとわかっていてもまた、留め金に使える金属が限られているので、思った機能が出せない、噛んだら歯ぐきが痛いといったことがあります。

一方、自費治療の場合は優れた材料を制限なく使用できるため、主に金属をメインとした入れ歯になります。金属であれば、薄くても剛性(強度)が強く歯を揺らせることも少ないので、留め金のかかった歯への負担が少なく、入れ歯自体も留め金のかかった歯の寿命も長くなります。

②機能的な型どりができる

象りする材料がほぼ決まっているため、保険治療の入れ歯ですと、歯ぐきに適切な圧をかけた機能的な型どりができないため、装着後使っていくと局所に圧がかかって痛みが出やすいことがあります。

一方で、自費治療の場合は適切な圧をかける材料を使用できるため、機能的な型どりが可能です。結果的に痛みが少なく、フィットした入れ歯が出来上がります。

③見た目を選ぶことができる

保険治療の入れ歯では使える人工歯も決まっているので、見た目のことは考えられていないため、ハリガネはどうしても残っている歯の見えるところを通ります。

一方で、自費治療の場合は工夫次第でハリガネを見えないところに通すこともできます。また、ハリガネを目立たない装置に置き換えることも可能です。そのため、パッと見ただけでは入れ歯だとは気づかれにくいです。

④装着の違和感が少ない

保険の入れ歯では薄い金属を使えないため、入れ歯はどうしても分厚くなりやすいです。プラスチック製で強度に劣るため、最低2mmの厚みは、必要です。

自費入れ歯の場合は強度の高い金属を使用できるため、かなり薄く仕上げることが出来ます、0.5mm程度の厚みに出来るでしょう。そのため装着感がよく快適に過ごしていただけます。

⑤残っている歯に負担がかかりにくくできる

残っている歯を長持ちさせたいと思っていても、保険の入れ歯は、プラスチック製のためたわみが大きく嚙むたびに揺れが起こります。ぴったり合っている入れ歯であっても、残っている歯は、いつも微妙に揺れており、結果的に負担をかける場合が多く、残っている歯が揺れ始めると抜歯に至ることも多く、にお口の健康寿命が短くなってしまうことがあります。

自費入れ歯の場合は、強度が強く揺れにくいため、結果的に残っている歯に負担が小さく、また残った歯に固定効果が得られるような設計することも可能です。様々な細かい設計が可能なため快適で使い易く入れ歯も残っている歯も長持ちさせることが出来ます。

安価で早くとりあえず噛める入れ歯が作りたい方であれば、保険の入れ歯で十分です。費用と時間をしっかりかけてオーダーメイドのぴったり入れ歯を作りたい方あれば、自費の入れ歯がおすすめとなります。

毎日使うものであり、失った部分を補い失った機能を回復できる人工臓器ともいえるのが入れ歯です。自分に合った物を選ぶのが難しい場合は歯科医に十分聞いてみましょう。最初に申し上げたように入れ歯の「最終ゴール」を最低ラインに留めるのか高いレベルに設定するかで選択肢が分かれます。超高齢化社会が訪れており人の寿命まで歯を残すにはどちらが良いのか答えは出ますね。