歯周病と関連のある病気をお口のケアで防ぐ
誤嚥性肺炎
高齢者の感染症による死因第1位のほとんどが、食べ物や唾液が誤って肺に入ることによって起こる「誤嚥性肺炎」です。肺炎は肺に細菌やウイルスが感染して炎症が起こる病気で、誤嚥性肺炎はお口の中の細菌によって起こります。
この誤嚥性肺炎は、お口の中を清潔にすることで発症のリスクを大きく下げることができます。そのためには口腔ケアが重要です。また、お口の中を歯ブラシなどで刺激することが、誤嚥予防に効果的なこともわかってきています。
心臓病(冠動脈疾患)
狭心症や心筋梗塞は動脈硬化によって心筋に血液を送る血管(冠動脈)が狭くなったり、ふさがってしまったりすることで起こる病気です。日本の研究では、歯周病と冠動脈疾患との間に関連性があることが報告されています。
歯みがきと動脈硬化の関連を調べた実験がありますが、歯みがきを中止すると動脈硬化の血液マーカーが上昇し、歯みがきを再開するとマーカーが正常値に戻りました。
糖尿病
糖尿病は、体内にブドウ糖を取り込むために必要なインスリンというホルモンが効きにくい状態になったためにブドウ糖が有効に使われず、血糖値が高くなっている状態です。
糖尿病と歯周病は、お互いに影響を及ぼす関係です。歯周病になると歯周ポケットから血液中に放出された炎症性物質によりインスリンが効きにくくなり、糖尿病が発症・進行しやすくなります。
逆に、高血糖の状態が続くと免疫の働きが低下するため、歯周病が発症・進行しやすくなります。近年では、インプラント治療の成功率や長期の安定性に糖尿病が影響していることも明らかになっています。
脳卒中
脳梗塞、脳出血、くも膜下出血など、脳の血管のトラブルで起きる病気が脳卒中(脳血管疾患)です。たとえ命が助かったとしても重い後遺症が残ることが多く、寝たきり(要介護度5)の最大の原因となっています。
重度の歯周病は脳卒中の危険因子であることが多くの研究により報告されています。「歯周病で歯を失った本数が多い男性は、脳卒中を起こしやすい」という研究結果も報告されています。