定期健診のススメ
むし歯や歯周病は「元に戻らない病気」であることはご存知ですか?
むし歯は細菌が作った酸により歯が溶かされる病気であり、歯周病は歯と歯肉の境目に繁殖した細菌に対する炎症反応により歯を支える骨が溶かされる病気です。
つまり、どちらも歯や骨という体の一部が失われる病気なのです。
では、失われた部分はどうやって治療するのでしょう?
歯の一部が失われた場合、金属やレジンという樹脂、セラミックなどの人工物により補うのが一般的で、元に戻っているわけではありません。
歯を支える骨が失われた場合は、それ以上溶けないよう進行阻止するのが治療の第一目標で、残念ながら積極的に骨を元に戻すことは難しいのが現状です。
ただし、痛みなどの自覚症状がない、ごく初期の段階では、虫歯は元に戻ることがありますし、歯周病も骨の回復が期待できます。
一般的に病気は「早期発見、早期治療」と言いますが、元には戻らない病気を扱う歯科においては、「早期発見、早期予防」が大切で、定期健診が不可欠になります。
人工物での機能回復や病状の進行阻止が歯科の主な治療とすると、治療せずに予防で食い止めることが何よりも大切になります。
さて、歯がなくなり、虫歯も歯周病も無縁になった方は定期健診の必要がないのでしょうか?
もちろん、義歯にとっても定期健診は重要です。
靴の底の減り方から全身のゆがみや体調不良が分かったり、逆に正しい靴選びで改善されたりすることがあります。
義歯も長時間使用しますから、必ずすり減り、減り方によっては、実際はかめていなかったり、あごの骨を部分的に溶かしたり、全身の姿勢にまで影響します。
また、正しくかめている義歯を使用していると、姿勢を維持し、認知症の発症リスクまで下げてくれることも分かってきました。
このような理由から、皆さんの現状にあわせて、3ヶ月~半年に1回の定期健診をお勧めします。