健康なお口の発育が全身の健康な発育につながります。
子どもの歯はどうせいずれ生え代わると、思って軽んじていませんか。乳歯の時からちゃんと噛んできちんと成長発育しないと、心も体も育ちません。乳歯は将来の健康の鍵を握っていますので、大切に育んで頂きたいものです。
乳歯は、生後半年ぐらいで下の前歯から生え始め、3歳くらいで上下合わせて二十本が生え揃います。赤ちゃんの歯ぐきは平らですが、歯が生えるにしたがって歯を支える骨(歯槽骨)が発育して大きく分厚くなり、ちょうど土手のように高く成長してきます。この骨は、歯に加わった力が刺激となって大きくなります。
六歳頃、下の前歯が抜け永久歯へ生え代わります。同じころ、乳歯の後ろに大きないわゆる「六歳臼歯」と呼ばれる第一大臼歯が生えてきます。そして、側方歯群と呼ばれる横の歯が順に永久歯へ生え代わり、十二歳頃、第一大臼歯の後ろにいわゆる「十二歳臼歯」と呼ばれる第二大臼歯が生えてきます。歯の根や「歯槽骨」支える骨ができて、永久歯の歯並びや噛み合わせ、あごの関節が完成するのは、十七、八歳ぐらいです。
さらにその奥に「親知らず」が成人を迎えるころに生えてこようとします。しかし、親知らずがきちんと生えるのは一割ぐらいの人で、最後に生える歯なので生える場所が足りないことも多く、傾いたり捻じれた状態で生えて来ることが多いです。また、現代人は、歯が減る傾向があり、親知らずがない人も増えてきています。ちなみに、歯は受精後二週間ごろからお母さんのお腹の中でつくらはじめる歯は乳児にとって大切な臓器の一つです。
ご存じのように、歯は食べる、話すなどの機能に大きく関係しています。人は、頭脳や手足が発達したため、食物を自由に加工して食べるようになったため、歯がなくても生きていけますが、野生の哺乳動物では獲物を捕らえ嚙み潰す機能を持つ歯がないと生きていけません。エサとなる動物を捕えたり、葉や実をむしりとったり、土中の食べ物を確保したりできないからです。
基本的な歯の仕事は、永久歯も乳歯も同じです。ところが、乳歯の時期は、体の成長発育や動作・感覚の修得をしなければいけない大切な時期です。
ヒトは、二本足で歩くことが出来る唯一の動物で、直立して歩行することが出来ます。直立歩行する能力を獲得するために他の動物が持っていない特別な身体の構造を持っています。背骨は、5キロ以上もある重い頭を支え、その頭にまるで振り子のように吊るされた下あごが体の重心や動作の方向を示すなど、下顎は骨格の一部としていろいろな仕事をしています。まず、しっかり噛んであごをしっかりと育てましょう。噛むには歯に食べ物を乗せることが必要で、舌がその仕事をしています。口を閉じて噛むと、歯列に適切な外向きの力が働きあごが育ちます。
また、噛むと歯を介してあごの骨に力が加わるので、歯の根や歯を支える骨がしっかり育ち大きな力に耐えられるようになります。負担が小さいとあごの骨が育たないので、歯周病に抵抗する抵抗力も弱くなります。
話すこと、噛むこと、バランスをとること、笑顔を作ることなど、口には多くの役割がありますが、子供の時に修得しておかないと十分な口・あごの機能を発揮できないことがあります。インドで発見された狼少年が、大人になっても十分に話せなかったという逸話もありましたが、大きくなってから練習してもなかなか改善しないもののようです。
乳歯はいずれ生え代わるからといって甘く見ていませんか。気づいても放置していませんか。子どものむし歯では歯と歯の間にできるものが少なくありません。ここにむし歯ができると歯の幅が小さくなるので、歯と歯の間が狭くなり、歯並び全体の長さが短くなります。それは、奥から生えてくる第一大臼歯が本来の位置より手前に傾いて生えてくることになります。すると、歯並びが短くなるので、永久歯に生え変わったときにでこぼこの歯並びになる可能性が高くなります。乳歯が早く抜けても同じです。傾いて生えた歯は、噛む力を受け止めるには不利なので、歯周病にもなりやすく、年を取ったときに困ることになりかねません。
むし歯は大きくなると痛くなり、親は夜中に起こされることもあります。乳歯のむし歯は進行が速いので、神経がばい菌に侵され腐ってしまい、歯ぐきや頬、顔が腫れることもよくあります。痛いといって噛まないと、あごの成長発育にも悪影響を与えます。片方ばかりで噛む癖がつくのも左右差を作るので発育にも左右差が出ることにつながります。大人になってから困らないように、乳歯の時期から歯を大切していくことが極めて重要です。
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