歯周病の兆候を知ろう
歯が長く見えてきたり揺れたりしていませんか。これらの症状は、歯周病で歯を失う前に必ず現れます。
歯は歯槽骨と呼ばれるあごの骨に植わっています。歯と骨の間は、他の関節と同じように、靭帯でつながっていて、その間には細い血管がたくさんあります。これらがクッションとなり、噛んだときに歯に加わる力が直接あごの骨に伝わらない構造になっています。
成人では、歯に作用する力が歯を支える歯槽骨の形や質を維持しています。赤ちゃんのあごの骨は細くて華奢ですが、歯が生えるにつれてどんどん太く大きくなっていきます。逆に年を取っていくと、骨はだんだん縮んでいきます。若くても、歯がなくなると、その周囲の骨はどんどんやせ細っていきます。
①歯は揺れていませんか?
歯は噛むための器官です。縦方向には数十キログラムの一時的な力に耐えることができます。ところが横方向の力には非常に弱く、十グラム程度の力でも横から押されるとどんどん倒れていきます。また、縦方向でも力を加え続けると、痛みが出たり歯が骨の中にめりこんだりします。当然ながら、一度傾いてしまった歯は、噛むことによって傾きが強くなっていきます。そして、噛む力に負け、揺れた状態が続くと、最後に抜けてしまいます。
あごの骨は、歯によって小さな力で押されると溶け出し、反対側の引っ張られる部分で新しい骨が造られます。骨が変形するので歯の移動が起こります。ところが、年を取ると骨を造るのに時間がかかるようになります。つまり、歯と骨の間が広くなっている時間が長いので、歯が揺れているのです。歯が揺れている状態が長く続くと、歯と骨をつなぐ靭帯が切れて歯と骨の間に空間ができます。高齢者ではたんぱく質が硬くなりますが、この靭帯も硬くもろくなるので、反復的な引っ張りによってきれやすくなります。そこに感染が起こって唾液が入って歯周病となります。
このような理由で、高齢者における歯の揺れは甘く見ない方がよいのです。揺れている歯は、必ずいつか抜けます。子どもや若い方々でも、歯は揺れながら移動し、傾きがどんどんひどくなるので注意が必要です。
②歯が長く見えないか
歯が長くなる、歯ぐきがやせてきたという症状は、歯を支えている骨がやせることによって起こります。一般的には年を取ると骨が縮むので、歯と歯の間の三角形のすき間が大きくなるなどの症状とともに出てきます。
しかし、このような症状は、必ずしもすべての歯に同時に起こっているわけではありません。部分的に出てくる症状には、その場所に特別な原因が存在するのです。最も多い原因は、噛み合わせの異常です。歯並びが壊れて特定の歯が強く当たるようになった結果です。
うつ伏せや横向きの寝相、片側ばかりで噛むこと、舌で歯を押したり歯ブラシで歯を引っ張ったりするのも好ましくありません。
たまには鏡を使って自分の歯を見てみましょう。右と左で同じような長さ・形をしていますか。長く見えるようになった歯は、骨に植わっている量が少なくなってきています。
歯の揺れに気付いたり歯が長くなったと思ったら、早めに診てもらいましょう。歯を支える骨のトラブルは歯の喪失に直結しますよ。ご注意ください。
この記事のお問合せ先:阿倍野区西田辺のいえさき歯科
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