よくある質問

歯科Q&Aについて

皆さまからの「よくある質問」や「歯にまつわるQ&A」をまとめてみました。
他にも何か聞いてみたいことなどがありましたら、お気軽にお問い合わせください。

子どもの矯正は本当に必要?

回答:必要とかんがえられます。

子どもの矯正で一番大切なことは、「お子さん各々の発達の個人差への配慮」と「治療に適切なタイミングを逃さないこと」です。そのためにもできればご両親も含めて0歳から継続的に歯科医院に通われることをお勧めします。

早期矯正治療を行うことで重要な口腔機能(呼吸、摂食嚥下、発音)の正常な発達を促します。さらには将来のむし歯や歯周病のリスクを減らすことができ、それがお子さんの財産になります。

子どもの噛み合わせが乱れていると、どうなるの?

回答:脳機能や顔面の発育に影響を及ぼします。

お子さんの成長にとって噛み合わせの乱れはいろいろなリスクをはらんでいます。

噛み合わせが乱れているのは、実はひとつの症状にすぎません。小児期にお口の周りの機能のバランスが悪いと、顎の骨の発育に影響し成長を妨げます。顎の成長が悪いと、その上にある脳頭蓋や顔面の発育も悪くなりしいては脳機能や顔面の発達に悪影響が出てしまいます。

また、脳機能や顔面の発達が悪いと、学業不良・情緒・行動の問題・多動・注意力の低下・攻撃性・頑固さ・成長障害・口呼吸・睡眠障害など様々な問題につながって行くことになります。

お口の周りの筋肉や舌の発達が正常でなかったり、指吸いや口呼吸など悪い習慣が残っていると噛み合わせが乱れたり、骨格が歪んで姿勢が悪くなったり病気にかかりやすくなります。適切なタイミングで適切な矯正治療をすることで、お子さんの健全な発育に繋げることが出来ます。

「お口ポカーン」と口を開いている子供大丈夫??

回答:口呼吸をしていると体にいろいろと悪い影響があります。

お子さんをふと見たとき、お口がポカーンと開いていることに気づいたことはありませんか?最新の全国調査では約3割の小児にお口がポカーンとなっている症状が認められました。これを口唇閉鎖不全と言います。オーストラリアの歯科医ジョン・フラッター先生は、「先進国の子供の8割は口を開いている」といつも述べられています。

このような口を開けてしまう癖が、からだにとって悪影響を及ぼすことがわかっています。

口呼吸は鼻呼吸に比べると口の中が乾燥しやすいだけでなく、ウイルスや細菌などが体の中に侵入するリスクを高めます。また、口の中が乾燥してしまうとむし歯や歯周病を引き起こしやすいことも分かっています。さらに、口呼吸とアレルギー疾患の関係や、睡眠時無呼吸症候群の原因になることも指摘されています。

他にも、口呼吸は顔の形成にも大きく影響します。口呼吸をしている子供には特徴があります。唇が前に突き出て、顎が後ろへ下がり、鼻は低く見えます。いわゆるアデノイド顔貌と言われているものです。

この場合、その後ろの歯並びに影響する可能性もあり、できれば6歳頃にはこの習慣をやめられるようにしたいところです。改善するための器具やトレーニング、意識による習慣の改善などいろいろ方法があります。将来の健康の為にも放っておかず、まずは矯正や小児歯科に詳しい歯科医にご相談ください。

今飲んでいる薬があるのですが、歯の治療の前に申告した方がいいでしょうか?

回答:服用している薬が歯科治療に影響することがあります。お薬手帳がある方は必ず見せてください。

歯科医院では初めての治療の前に常用薬があるか問診票で確認します。

持病と歯の治療は一見関係ないように思われるかもしれませんが、薬の種類によっては歯の治療に大きく関わるのです。

心筋梗塞の予防をしている方や心筋症・脳梗塞を起こしたことがある方などは、抗血栓薬という血液を固まりにくくする薬を服用していることがよくあります。血液をサラサラにする作用があるため、出血した際は血が止まりにくくなってしまいます。歯科治療において抜歯やインプラントなどの外科的処置を行う際は、出血することも少なくありません。服用をやめずに治療することもできますのでお申し上げください。

骨粗しょう症の方などに処方される骨吸収抑制薬を服用されている場合も、抜歯やインプラントの治療に影響します。外科処置後に顎の骨が治りにくいため壊死してしまうケースがあるのです。骨の血流が悪くなるため、このようなことが起こります。現在飲んでいなかったとしても、長期間服用していた方は必ず申告してください。

また、抗てんかん薬やカルシウム拮抗薬を長期にわたり服用していると、副作用で歯ぐきが腫れてしまうこともあります。なかには、歯が歯茎に埋まるほど腫れあがってしまう方もいらっしゃいます。さらに歯茎の清掃が悪いと重症化しやすいので、定期的なメインテナンスと毎日の歯磨きを徹底することが大切です。

場合のよっては休薬してもらう必要もあり、そういったときは主治医の方と連携をとってから治療を進めます。神経治療などで麻酔を使ったり、薬を処方することもあるので、持病の有無や普段どんな薬を服用しているかは歯科医や歯科スタッフに必ずお伝えください。

また体調の変化により、治療の途中から服用し始めたり、治療の途中で薬が変わることもあるでしょう。安全かつスムーズな施術を行うためにもその都度お申し出ください。

その他、一見歯科と関係なさそうなお薬でもご自身で判断してはいけません。スムーズな治療を行うためにも必ずお薬手帳をお持ちになってください。

外科手術を受ける前に歯の治療が必要と聞きました。

回答:合併症の恐れがあるため、むし歯や歯周病などの治療をしましょう。

口の中にはたくさんの細菌が潜んでいます。最近では医科でのがんの手術前に口腔管理をするよう行政も推進しています。一見、口と関係ない場所の外科手術だとしても、唾液に含まれる細菌を飲み込んでしまい、それにより合併症を引き起こしてしまうのです。

また、全身麻酔の場合、気管内チューブという口や鼻から気管内に直接挿入する器具を使います。その際、口の中の細菌が気管に入ってしまうと肺炎になる可能性があります。ご年配の方が食べ物や唾液などが気管に入ってしまい、肺炎になる「誤嚥性肺炎」というのを耳にしたことがあると思います。実はこの病気は口の中の細菌と大きく関わっています。細菌が唾液や食べ物と肺に入ることが原因ですが、手術の後抵抗力が下がっている状態は若い方でも誤嚥性肺炎のリスクが高まります。

他にも不安定な歯が手術中に欠けたり折れてしまったりすることもあります。

上記の理由から、口とは関係なさそうな医科の外科手術であっても、事前に来院していただきお口のチェックをお勧めしています。

その際、クリーニングを行い、感染症や誤嚥性肺炎を防ぐために口腔内の細菌の数をコントロールします。このときにむし歯が見つかった場合、治療または応急処置を行います。揺れている歯がある場合は歯の固定をするなどの治療も行います。揺れがあまりひどいと抜歯をすることもあります。気管内チューブを使用する予定がある方は、歯を保護するためのマウスピースを作ることもあります。

手術や入院の前にじっくりと歯の治療をするのは難しいかもしれません。ですが、口腔内の環境によって合併症を引き起こしてしまうと病気も長引くことになります。また、手術後の久々の食事のときに筋肉の衰えによって、うまく食べることができず気管に入ってしまったという場合もあります。

外科手術の前には、歯を一通りチェックした方がいいでしょう。

定期健診をさぼったり、治療途中で行かなくなったりしたのですが、いまさら元の歯医者さんに気まずくて行きづらいです。怒られないでしょうか?

回答:怒るどころかお待ちしている歯科医院が大半でしょう。いえさき歯科でもスタッフ一同、ご来院をお待ちしておりますよ。

定期健診や治療を中断してしまうのには、皆さんそれぞれ都合があると思います。仕事が忙しい、コロナに罹った、体調不良、家族の都合、引っ越しなどなど日々いろいろありますよね。

みなさんが歯のことをいつも考えて生きているわけではないことは解っております。中断されて心配こそすれ、怒ったりはしません。

治療途中の歯は特に一時的な仮封や仮り歯が入っていることが多いです。これらは一二週間で外すことを想定して着けているものが多く、長期間放置しているとむし歯や歯周病が悪化することがあります。最悪の事態を考えると、歯を抜かないといけなくなることもあります。歯の治療のためにに通っていたのに、かえって歯の寿命を縮めてしまうのは、とても残念です。中断していても、お気づきになったらできるだけ早く再来院されることをお勧めします。もし一度中断してしまって歯科には行きづらいと思われるなら、違う歯科医院でもいいのでなるべく早く行くことをお勧めします。

定期検診も同様です。定期検診に来ていただく間隔には理由があります。間隔があいてしまうと歯周病やむし歯など病気を発症するのリスクが高くなります。3か月に一回が6か月になっても構いませんので、出来るだけ近い周期でチェックを受けられることをお勧めします。

 

酸蝕症ってどんな病気?

回答:食べ物や飲み物の「酸」で溶けた状態を示す病気です。からだに良いと思っているけど歯にはNGな食習慣にご注意を!

みなさんは「酸蝕歯」という言葉をご存知ですか?むし歯は、口の中の細菌が出す酸が原因で引き起こされます。うまく掃除が行き届かなかったところや汚れがたまりやすい部分などプラークの溜まるところにできます。

これに対し、むし歯でも歯周病でもないのに歯が溶けてしまうことがあります。。それが酸蝕歯という病気で、食べ物や飲み物に含まれる酸によって引き起こされます。むし歯と違いお口全体なのが特徴です。年齢に関係なく、4人に1人が酸蝕歯であるというデータもあります。

歯にはエナメル質という鎧があるのですが、人によって厚みが違うため、酸蝕歯になりやすい方となりにくい方がいます。また、むし歯がある場合は、酸蝕によって進行しやすくなります。また、実は、私たちの身近にある飲み物の多くは酸性です。市販飲料の約73%が歯のエナメル質を溶かす酸性度を超えています。炭酸飲料やスポーツドリンク、栄養ドリンク、オレンジジュースなどのソフトドリンク、お酒なども酸蝕歯を引き起こしやすいです。同様に食べ物の多くが酸性です。意外なものだとマヨネーズやチーズ、ナッツ、パンやパスタなども酸性です。

たとえば、健康のために黒酢を毎日飲む方や酸性度の高い飲食物を高頻度に摂取する方は注意が必要です。酸性度の高い飲料物を仕事中や運転中、スポーツをしているときなどに「ながら飲み」をしている方も高リスクです。長い時間をかけて摂取することで歯が酸に触れている時間も長くなり、唾液が中和する効果が追い付かず、歯が常に酸性にさらされている状態になってしまいます。

他にも柑橘系の果物を前歯でかじる習慣のある方や、もずくなどの酢の物を前歯ですする癖のある方も要注意です。どうしてもやめられないという方は酸性の物をとった後にお水を一杯だけ飲んで中和しましょう。

また、ここが難しいのですが、後述する食後の歯磨きは食後すぐに歯磨きしてください。一方、酸蝕症では歯が飲食物の酸で傷ついてしまっているので、食後30分ほど待ってから磨きましょう。

歯周病は他の病気にも関係があるというのは本当ですか?

回答:大病につながるほど、深い関わりがあります。

歯周病はお口の中だけではなく、全身を蝕む怖い病気です。以下の病気と深い関わりがあることがわかっています。

①脳梗塞、心筋梗塞 ②糖尿病 ③誤嚥性肺炎 ④早産、低体重児

①脳梗塞、心筋梗塞

脳梗塞は脳の血管が詰まり、心筋梗塞は心臓の血管が詰まる、生死に関わる病気です。

実はこれらの病気が近年、歯周病と深い関わりがあることがわかっています。炎症を起こした歯ぐきから骨に入り、体内に入り込んだ歯周病菌は、血流にのって全身に広がります。

血管内を回っているうちに歯周病菌が血管の内壁に入り込んでしまうと、白血球がたまり、それらが死がいの塊(熟腫)となり血管の壁にこびりつきます。それが動脈硬化を引き起こし、血流の流れを邪魔したり、場合によっては剥がれた塊が詰まって血栓となって、脳梗塞、心筋梗塞の原因となります。

ある研究では、歯周病の方はそうでない方の3倍近く脳梗塞になるリスクがあるというデータもあります。高血圧の方やコレステロール値や中性脂肪値が高い方はリスクを軽減するためにもしっかりと歯周病の予防や治療を行いましょう。

②糖尿病

糖尿病と歯周病は相互に影響し合っています。歯周病が改善されると血糖コントロールが良くなり、結果として糖尿病が改善されることがわかっています。

糖尿病はインスリンというすい臓からのホルモンの働きが弱まったり、十分に分泌されなくなったりすることで血糖値が高くなる病気です。

歯周病が悪化していると、歯ぐきの炎症が拡大し、炎症物質が体内へと侵入します。その物質がインスリンの働きを弱めるために、糖尿病が悪化します。

③誤嚥性肺炎

高齢者の方に多い誤嚥性肺炎は、本来食道を通って胃に運ばれる食べ物が舌や口、喉の筋肉の衰えによって飲み込む力が弱まり、気管から肺に入ってしまうことが原因で起こります。

歯周病などによって口内の細菌が多い方ほど、誤って肺に入り込んだとき誤嚥性肺炎になりやすいことが報告されています。日頃からケアを受けるなど、お口の中を清潔に保っている高齢者の方は、肺炎の発症率や発熱率、死亡率が低いという報告もあります。

④早産、低体重児

歯周病は、早産や低体重児出産にも深く関わっています。歯周病の炎症により、炎症性物質が子宮の筋肉の収縮を招き、早産が引き起こされるのです。とはいえ、まだ不明なことも多く、今後の研究が必要な分野でもあります。

女性は妊娠期、ホルモンバランスの変化やつわりなどで歯磨きができなくなったり、だらだら食べをしたりと、特に歯周病のリスクが高まる時期でもあります。

悪化させないためにも、お口の中を清潔に保つことを心がけましょう。

唾液にはどんな効果がありますか?

回答:一言ではお伝え出来ないくらい多くの働きを担っています。

実は楽しい会話も、おいしい食事も、健やかな口腔環境も、唾液の力があってのことです。唾液の力のひとつ、再石灰化についてはすでにご紹介しました。ここではさらに唾液の力についてお話ししましょう。

①潤滑作用

歯ぐきや舌などの粘膜を潤して保護し頬との張り付きを防止し、しゃべりやすい状態を保つことができます。

②快適な食事

唾液の水分と粘度が食べ物を咀嚼しやすく飲み込みやすくしてくれます。

③消化作用

食べ物に含まれるでんぷんを分解し糖に変えることで、胃腸の負担を軽減します。ちなみにお米が甘く感じるのも唾液の働きによるものです。

④抗菌作用

口内に入った細菌の活動を抑え、増殖を防いでくれます。

⑤洗浄作用

食べ物を洗い流し、口の中をきれいにしてくれます。

⑥酸性になった口内を中性にする作用

酸性に傾いた口内を中性に戻す働きがあります。

⑦口内の保護

唾液が膜となり、歯や歯ぐき、頬の内側を刺激から守ります。

⑧組織の修復

歯ブラシによる歯ぐきの傷や、熱い食べ物を食べたことによるやけどなど、口内の傷の修復を促します。

唾液が減少すると、これらの働きが低下してしまいます。たとえば、食べ物が口の中に残りやすくなったり、飲食後にいつまでも口の中が酸性の状態になっていたり、エナメル質の脱灰も進みやすくなります。また、歯ぐきや粘膜も傷つきやすくなります。つまり「唾液の減少→口内の乾燥」は、むし歯や歯周病のリスクもぐっと高めてしまうのです。