お知らせ

口腔ケアで命をキレイにする

お知らせ

2010年度まで、日本人の死因の第1位は悪性新生物(がん)で

続いて2位が心疾患・3位が脳血管疾患、4位が肺炎

5位が不慮の事故という順番でした。

ところが、11年度には肺炎が脳血管疾患を追い抜き第3位になりました。

実は、高齢者の直接の死因のトップは肺炎なのです。

体力のない乳幼児や高齢者にとって肺炎は怖い病気のひとつで

さらにいうとその60〜80パーセントが誤嚥性肺炎です。

これは、年齢や脳血管障害の後遺症で嚥下(飲み込み)や咳をする力が

弱くなり、口腔の細菌や食べ物が誤って気管や肺に入って

起こる病気です。

しかし、口腔や義歯を清潔にし、口腔の細菌を減少させるために

口腔ケアを行うと、高齢者の肺炎の発症率が40パーセント低下する

ことがわかっています。

現在は口腔ケアが見直され、全国的に病院や高齢者施設では

本格的に口腔ケアを行う機会が増えました。

ちなみに、「歯磨き」と「口腔ケア」の違いですが、「歯磨き」は

単に歯だけを磨きます。

「口腔ケア」とは、歯のみならず、舌・口蓋・頬の粘膜も

きれいにすると同時に、そこに刺激を加えることで、これらの動きを

促します。歯だけ健全でも食べることはできません。

食べるときには、唇・頬・舌すべてを使わなければならないからです。

例えば、何らかの理由で口から食べることができなくなったら

鼻からの経管栄養や胃に穴を開け流動食を直接胃に流し込む

胃瘻の処置を施さなければなりません。

このような状態になれば口を使う機会が減ってしまいます。

そうすると、口の中はあまり使わないからきれいになると思いますか?

それとも汚くなるでしょうか?

正解は、だれも住まない家が傷むように、口も汚れますし

唇・頬・舌・顔の筋肉が衰えてしまいます。

例えば、脳血管障害で口の片側にマヒがあると、そのマヒ側に

食べカスが溜まると、歯垢や歯石などがつきやすくなります。

しかも人の体温は約36℃〜37℃なので、細菌が大繁殖し腐敗が

進みやすい環境です。

さらに、口が開いたままだと、口腔の粘膜や痰などの分泌液が乾燥し

汚れを取ろうとすると出血を起こしてしまいます。

さて、普段私たちの口の中がどれだけ汚れているのでしょうか?

簡単に確かめることができる方法があります。

透明なコップを用意し、水を入れてください。

そして、歯磨き剤をつけないで歯ブラシで歯を磨いてください。

その歯ブラシをコップの水につけ洗いしながら、磨き続けてください。

これを数回繰り返すと水が濁ってきて、いかに自分の口が

汚れているかがわかります。

この水を飲めといわれても、とても飲む気にならないでしょう?

人間のお口の中には通常、約700種類の細菌が住んでいると

言われています。

一人のお口の中に、歯をよく磨く人で1000~2000億個

あまり磨かない人は4000~6000億個

そしてほとんど磨かない人は1兆個の細菌がいると言われています。

この細菌の中には、歯や歯茎の上だけでなく、上あごや舌の上

頬の内側、それに入れ歯の裏側などに住み着いて

厚い層を作るものもいるので、「私は総入れ歯だから大丈夫」と

安心してはいけません。

肺炎は、お年寄りにとって命にかかわる重大な病気です。

肺炎で死亡する人の92%は65歳以上の方です。

病気や加齢などで身体が弱くなってくると、飲み込んだり

咳き込んだりする力も弱まり、知らず知らずのうちに

細菌を含んだ唾液が気管を通って肺に達してしまうことがあります。

こうして肺に入ってしまった細菌などが誤嚥性肺炎を引き起すのです。

口の中を清潔にする口腔(こうくう)ケアは

細菌の感染による発熱が減り、肺炎予防に効果があることが

確かめられています。

そして、口の中をきれいにする事で口臭がなくなり

味も分かりやすくなり美味しく感じられ、食欲も出てきます

栄養状態が良くなれば、笑顔も増え体力も増します。

高齢者や有病者は、抵抗力が少ないので、日ごろの口腔ケアは大切です

特に夕食後(就寝前)の口腔ケアは重要です。

寝ている間は口の中の細菌が繁殖しやすいので、その前にきれいに

しておくことが効果的です。

また、口腔ケアは細菌を減らすだけでなく、口の中を刺激し続けることで

口の周りのリハビリテーションにもなります。

口腔機能がアップすることで、誤嚥は確実に少なくなり

感染症も減ります。

日本の平均寿命は、男性が80.50歳、女性が86.83歳です

こんな長寿の国なのに、日本人の歯の平均寿命は欧米に比べて短命です

日本人は70歳前後で、健康な歯が半分の14本くらいに

なってしまう人が多いのです。

これは、欧米では国民の80%が“予防”のために歯医者へ

通っているのに比較して、日本人はたったの2%です

まだまだ日本には予防で歯医者を利用するというのが少ないのです。

歯は『悪くなってから治す』『痛くなってから治す』のではなく

定期的に歯医者さんでチェックする習慣をつけると、きれいな

口内環境にすることが出来るのです。

3ヶ月に1度の歯の定期検診・クリーニングは、歯の寿命を延ばすのに

とても効果的という結果も統計調査であります。

予防の為に歯の検診にいくことは、将来自分の歯をしっかりと残すため

身体の寿命を延ばすため、そして何歳になっても不自由なく

好きな物を食べるという当たり前の幸せに早く気づいてほしいのです。