虫歯ゼロの子どもを育てるために
お子さまの”歯”を育てるために。親子で一緒に予防歯科!
一般的に生後8ヶ月頃から乳歯が生えはじめ、6才頃から永久歯の生え替わっていく、子どもの歯。自分できちんとみがけるようになるには、長い年月が必要です。子どもの歯を守るのは、パパとママの正しい知識と習慣。親子で一緒に続けていって、いずれはひとりで上手にみがけるその日まで。
予防歯科とは?
ムシ歯になってからの「治療」ではなく、「予防」を大切にすること。歯とお口の健康を守るためには、歯科医院などでの「プロのケア」と毎日の「セルフケア」の両方を、継続して実践することが必要です。
予防歯科の大切な3つのポイントを意識しながら歯医者と一緒に、そして親子で予防歯科をはじめてみませんか。
予防歯科に大切な3つのポイント
①フッ素を歯に残す
フッ素は歯の再石灰化を促して、歯の健康を守る大切な成分です。
②歯垢を落とす
歯垢(プラーク)はムシ歯や歯周病、口臭の原因になる、細菌のかたまりです。
③細菌を増やさない
細菌はお口の中で増殖し、ムシ歯の原因となる歯垢を生成します。
子どもの歯みがきステップアップチャート
子どもの歯の成長に合わせた、歯みがきのステップアップです。
あくまで年齢は目安です。お子さまの歯の成長に合わせて焦らずに行いましょう。
マタニティ期~0才(歯が生えるまで)
赤ちゃんの歯が生える前から口の中や周りを触ってみたり、パパとママも口腔環境を整えたり。親の意識や習慣から、すぐに予防歯科ははじめられます。
マタニティ期
妊娠すると、つわりや女性ホルモンの分泌増加により口内環境が悪化しやすくなります。
・つわりによる嘔吐や唾液の減少により口の中が酸性になりやすい
・つわりで歯みがきがつらい
・食習慣の変化など
ムシ歯が発症・進行しやすい!
つわりでケアが充分にできない時にはこんな対策がおすすめです。
・食後にブクブクうがいを充分に行い、体調のよい時に歯みがきをしましょう。
・歯みがきができない時は、洗口液で清潔を保ちましょう。
・香味を抑えたハミガキ剤を使うとよいでしょう。
・奥までラクに届きやすいヘッドの小さなハブラシがおすすめです。
2才でムシ歯がある子は、お母さんの「74%がムシ歯あり」という事実。
ある研究では、乳歯がムシ歯になった子どもの多くが、お母さんに未処置のムシ歯があることが分かっています。
ムシ歯はパパとママから赤ちゃんにうつるの?
生まれたばかりの赤ちゃんの口には、ムシ歯菌はいません。
ムシ歯の原因となるミュータンス菌は唾液を介して、パパやママなどから伝わります。
マタニティ期・産後の歯みがき習慣、食事習慣の改善やムシ歯治療が大切です。ママだけでなく家族全員で意識しましょう。
生まれたら
歯みがきの第一歩は、お口のまわりのスキンシップから。
①手のひらで頬を触ってみましょう。
②清潔な指でくちびるの周りや、歯ぐきに軽く触れてみましょう。
③歯が生えてきているか口の中を観察しましょう。
個人差がありますが、8ヶ月頃から下の前歯が生えてきます。
ハブラシを自分で握って持てるようになったら。
そばに座らせて、自由に持たせてみましょう。みがくことが目的ではなく、ハブラシを口に入れること、刺激になれてもらうことが大切です。
ハブラシを持たせるのは危ない?
ハブラシを持ったまま動き回ると転倒などの危険も。だからといって、持たせないとなかなか習慣づかないものです。子どもから目を離さない、安全性を考慮したハブラシを使うなど細心の注意を払いましょう。
ハブラシを口に入れたまま走る、遊ぶなどをさせないでください。
転倒すると、ケガにつながり危険です。
お子さまが歯みがきする際は、保護者がそばで注意を払ってください。
歯が生えてきたら、いよいよ歯みがきスタートです。
0~2才(乳歯が生えたら)
歯みがきの練習と仕上げみがきのスタートです。
子どもだけではきちんとみがけないので、パパとママが毎日しっかりと仕上げみがきをすることが大切です。
子どもに教えましょう
自分みがき練習。
自分で動かしてみがいてみましょう。パパやママが一緒にみがいてマネをさせたり、歌やリズムをとりながら楽しい雰囲気づくりを心がけましょう。
自分でハブラシを口の中に入れて慣れることを目標に。
ムシ歯の原因の歯垢(プラーク)って何?
ムシ歯の原因は歯垢(プラーク)という菌のかたまり。1mgに約2~3億個の細菌がいます。
ブクブクうがいの練習。
①水を口に含み、吐き出す練習をします。
②水を含まずに頬を膨らませる練習をします。
③上の2つが上手にできたら水を口に入れてブクブクうがいをしてみましょう。
ブクブクができたら、フッ素が入った低発泡ジェルなどを使いはじめましょう。
なんでフッ素が歯にいいの?
フッ素にはエナメル質の修復を促進し、歯質を強化して、酸がつくられるのを防ぐ働きがあります。
親子でやりましょう
1日1回以上、特におやすみ前にしっかりと仕上げみがきをしましょう。
ハブラシはえんぴつ持ちで、力を入れずに細かくみがきましょう。その際、上唇小帯にハブラシが当たらないように、指を添えて保護しながらみがいてあげましょう。「イー」の口と「アー」の口にさせるのがポイントです。
上の前歯2本の間には「上唇小帯」という筋があります。ハブラシが当たると痛みがあったり、歯みがきを嫌がる原因になります。指でガードしましょう。
ムシ歯になりやすい下記の2ヵ所を重点的にみがきましょう。
①上の前歯の外側
②奥歯のかみ合わせ
仕上げみがき用ハブラシの選び方は?
奥歯まで届きやすいコンパクトなヘッドのもの、パパとママが持ちやすく柔らかい毛のものがオススメです。
仕上げみがき用ハブラシって本当に必要なの?
子ども用のハブラシは、子どもがかむことが多く、毛先が開いて汚れが落ちにくくなります。2本のハブラシを使い分けることが推奨されています。
自治体で実施している「1歳6ヵ月児歯科健康診査」を受診することも重要です。
3~5才(乳歯が生えそろったら)
いよいよ、自分でしっかりみがく練習をする時期です。早い時期から食べたらもがく習慣ときちんとしたみがき方を覚えることが大切です。仕上げみがきも年齢に合わせて行いましょう。
子どもに教えましょう
本格的に自分でみがく練習をはじめましょう。
みがき方にもコツがあります。食べたら自分でみがく習慣をつけることが大切です。また、みがく時にはフッ素入りのハミガキ剤を使い、フッ素を口に残すことがポイント。すすぎは少量1回で行うようにしましょう。
まずは「ハブラシの持ち方」から練習してみましょう。
”こんにちは”の持ち方。
”さようなら”の持ち方。
奥歯のかみ合わせと、歯の外側をみがけるようになりましょう。
①②まずは”さようなら”の持ち方で左右の上の奥歯のかみ合わせをみがきます。
③④次に、ハブラシを持ち替えて”こんにちは”の持ち方で左右の下の奥歯のかみ合わせをみがきます。
⑤⑥上の歯の左側から前の歯まで順番にみがきます。
⑦⑧下の歯も同様に、左側から順番にみがきます。
⑨⑩最後に”さようなら”の持ち方に変えたら上下の右の歯をみがいて終わりです。
⑩までできるようになったら歯の内側も練習しよう!
親子でやりましょう
子どもがみがいたあとに、しっかり仕上げみがきをしましょう。
上の前歯、奥歯のかみ合わせ、歯と歯の間をしっかりみがきましょう。この時、お口や歯の状態をチェックしてください。もし気になるところがあれば歯科医院で診てもらうことをおすすめします。また、歯と歯の間にはデンタルフロスが効果的です。
ムシ歯になりやすい下記3ヵ所を重点的にみがきましょう。
①上の前歯の外側
②奥歯のかみ合わせ
③歯と歯の間
仕上げにデンタルフロスを使いはじめましょう。
デンタルフロスを使えば歯垢をもっと落とせる?
ハブラシの毛先が入りづらい歯と歯の間は、ムシ歯になりやすいところ。仕上げみがきにデンタルフロスを使ってしっかり歯垢(プラーク)を落としましょう。
自治体で実施している「3歳児歯科健康診査」を受診することも重要です。
6~12才(永久歯が生えてきたら)
乳歯から永久歯への生え替わりがはじまると、歯の高さや歯並びが凸凹になりみがきにくくなります。
一生モノの永久歯をムシ歯にさせないためのケアをしていきましょう。
子どもに教えましょう
第一大臼歯(6才臼歯)が生えてきたかを確認しましょう。
乳歯の奥歯のさらに奥、前から数えて6番目の歯が生えてきたかどうか日頃から確認するようにしましょう。生えている途中に歯は背が低い状態が1年半ほど続くので気づきにくく、みがきにくいので注意は必要です。
第一臼歯(6才臼歯)とは
6才頃に生えてくる「第一大臼歯」は「6才臼歯」とも呼ばれ、永久歯のなかでも噛む力が一番強く、これから生えてくる永久歯の歯並びを決める大切な歯です。しかし、永久歯の中で最もムシ歯になりやすいので、生えてきたらすぐに予防を心掛けましょう。
みがき残しやすい永久歯を、自分できちんとみがけるように。
生えている途中の奥歯(第一臼歯/6才臼歯)はハブラシを横から入れる1本みがきをしましょう。また、抜けた歯の横や凸凹な歯並びなど、みがき残しを減らすためにも毛先の当て方を親子で一緒に練習してすべての歯をひとりでみがけるようになりましょう。
仕上げみがきは、少なくとも小学生の低学年までを目安に。ひとりで上手にみがけるまで行いましょう。
生えたての永久歯はまだ歯質が弱く、表面がざらついていてムシ歯になりやすいので注意が必要です。子供がひとりでみがけるようになるまで、仕上げみがきは続けていきましょう。
ひとりでみがけるようになっても、予防歯科を続けていきましょう。
歯医者さんでの定期的な検診や処置、年齢に合わせてデンタルフロスやデンタルリンスを使うなど、永久歯が生えそろってからも予防歯科を実践していきましょう。
口の中の細菌はいつ増えるの?
ムシ歯の原因菌は、唾液の分泌量が減る就寝中に増殖します。お口の清潔を保つデンタルリンスを親子でおやすみ前の習慣にしましょう。
~歯医者さんで予防歯科体験~
毎日のセルフケアを続けていきながら、定期的にプロケアを。ここでは歯科医師による歯みがき指導や予防処置をご紹介します。
①健診
歯と口の健康状態をプロの目で確認
ムシ歯や歯並び、乳歯と永久歯の生え替わり状況や治療済みの歯など、お口の中をすみずみまで健診します。子どもも歯肉炎になりやすいので、歯ぐきも確認します。
②レントゲン撮影
隠れた部分も細かくチェック
必要に応じてレントゲンを撮り、外から見えない歯と歯の間や、歯の内部までチェックしてもらいます。永久歯がスムーズに生えてくるか、ムシ歯を治療したあとの状態など、トラブルの早期発見に役立てます。
③染め出し
みがき残しが一目瞭然
自分ではきちんとみがいていつもりでも、思いもよらない部分に歯垢(プラーク)が残っていることがあります。みがけていない部分は赤く染め出されます。
④歯みがき指導
セルフケアの基本をしっかりと指導
生え変わったばかりの歯は、みがきにくいものです。歯ブラシの持ち方や当て方、デンタルフロスなどのアイテムの使い方も含め、一人ひとりにあった適切なセルフケア方法を教えてもらいます。保護者の方も一緒に話を聞いて、家庭でも復習することが大切です。
⑤クリーニング
1本1本、ていねいに汚れを落とす
毎日の歯みがきでは落としきれない歯垢を、専用の器具を使って、プロの技でしっかりクリーニングします。
⑥総合アドバイス
「予防歯科」について総合的に指導
健診結果やレントゲン、チェックシートをもとに、歯科医師などの専門家から総合的に指導、生活習慣や食生活のアドバイスも。
こんなプロケアも!
フッ素塗布
フッ素(フッ素化)には再石灰化の促進や歯質の強化、ムシ歯の原因菌(ニュータンス菌)の活動を抑える働きがあります。生えたばかりの永久歯はムシ歯になりやすいので、歯科の専門家に高濃度のフッ素を定期的に塗布してもらいましょう。毎日のセルフケアでフッ素配合ハミガキを使うことも大切です。
シーラント
奥歯などみがきにくい歯の溝やくぼみを樹脂で埋めて、ムシ歯を予防する「シーラント」。乳歯、永久歯を問わず受けられます。処置後も定期的にチェックすることで、ムシ歯予防の効果が持続します。