筋力発揮と呼吸、姿勢との相関
筋力発揮と呼吸との相関
筋力発揮と呼吸には強い相関が認められる。
①呼気相
運動に備える段階です。また、力を入れた呼気を繰り返すと交感神経優位となり、身体は興奮しやすくなります。
→過換気症候群にその例を見ることができる
②停止相
呼吸の軽い停止は運動スタートに備える状態で、強い停止は筋の共縮が起こりやすい状態です。
→噛みしめとして現れ、軽い噛みしめは身体のバランスをとるときに、強い噛みしめは身体を固めるときにみられます。
③呼気相
筋肉の相反性抑制が促進され、運動動作は外へ向かって伸びやすくなります。また、副交感神経優位となるため、筋肉のリラクゼーションが得られやすくなります。
→心が落ち着き、ホッとため息をつくような安心するときにみられます。
シャウト効果
筋力を発揮する際、「叫ぶ(シャウト)」することによって一時的に筋出力を増大させることができます。中枢神経系による抑制が外れ、普段異常の筋力を発揮することができます。
筋力発揮と姿勢との相関
姿勢は人が筋力を発揮するとき、それが有力な力(機能力)に変換されるためのメカニズムのなかで大変重要な役割を果たします。
また逆に、姿勢は人が筋力が発揮した結果でもあり、それにより筋力が適切に(機能的に)使われたのかの判定をおこなうこともできます。
これは、体軸から前方へズレた頭部の重さを支えるために、常に肩部や頸部の筋肉が過度の緊張を強いられることから、首や肩の凝りが発生してしまうことです。
良い姿勢のいろいろ
一般的には良い姿勢の条件として
- 外観が美しい
- 力学的に安定している
- 筋に加わる負担が少ない
- 呼吸など諸機能が妨げられない
等があります。
実は、一般的に良い姿勢と言われているものは、必ずしも機能的とはいえない場合が多々あります。
良い姿勢は目的やさらには個人の身体特性により異なるものであることを知っておいてください。
歯科的に良い姿勢とは
歯科的に良い姿勢とは、どのような姿勢なのでしょうか。
まず、全体姿勢としては立位、座位、胡座(あぐら)位、臥位などがありますが、食事時に最も一般的である(椅子)座位で考えてみましょう。
①最も改まった座位で見た目も美しく見えるのでは、実は手足が固まって動かしにくく、呼吸もしにくいため機能的とは言い難い姿勢なのです。
下顎位でいえば下顎最後退位になります
②最もリラックスした座位です。この姿勢では全身の力が抜けて目もつむりやすく、休息のための姿勢といえます。
下顎位でいえば下顎安静位そのものです。
③①と②の中間です。これはもっとも咀嚼に適した機能的な座位姿勢なのです。多少猫背気味ではありますが、ほとんどの人はこのような姿勢で食事をしています。
下顎位では咀嚼位をとります。
ここで大切なのは骨盤の位置です。上体がどのような姿勢であろうとも、骨盤がしっかり立っていることがポイントです。
初動負荷と終動負荷
初動負荷様式:運動動作の初期に負荷がかかるような筋力発揮。相反性抑制がよく効いていて筋の共縮がほとんどなく筋の弛緩が得られやすいため、筋肉にやさしい筋力発揮様式といえます。
終動負荷様式:終期に負荷がかかるような筋力発揮。筋の共縮が発現しやすいため、筋の負担が大きくなります。