お知らせ

「むし歯」の原因菌も全身に影響を及ぼす

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むし歯菌は血液中に入り全身をめぐる

むし歯菌を引き起こすのは、ミュータンス菌という細菌(むし歯菌)です。

お口の中の細菌は、抜歯などの出血をともなう歯科治療や歯みがきなどによって血液中に入り込むことが知られています。そして、むし歯菌も体中をめぐって全身に影響を及ぼすことがわかってきました。

近年、特に関連が明らかになってきているのが、脳と心臓です。これはむし歯菌も歯周病菌のように、脳卒中(脳血管疾患)や狭心症・心筋梗塞(冠動脈疾患)などを引き起こす動脈硬化の発生に関係しているからと考えられています。

 

むし歯菌と特に関連の深い病気

 

・脳出血

脳出血の患者数、死亡数は減ってきていますが、高齢になるほど発症する人が増えるため、油断はできません。

脳の血管は不適切な生活習慣や加齢によって柔軟性を失い、もろくなります。このような状態の血管にむし歯菌がつくと炎症が起こり、血管壁が破れやすくなることが近年の研究によって解明されました。

このことから、適切なお口のケアと歯科治療によってむし歯菌を減らすことが、脳出血の予防につながる可能性があると期待されています。

 

 

・心臓病

心臓病のある人では、心臓の弁膜や内膜にむし歯菌のかたまりができることがあります。実際、手術で摘出された心臓弁膜症の人の弁を調べたところ、半数以上にむし歯菌のDNAが検出されました。

心臓弁膜症とは、心臓にある4つの弁のいずれかが開きにくくなったり、閉じにくくなったりする病気です。心臓に負担がかかり続けるため、やがて心不全になります。

心臓弁膜症を引き起こす原因には、加齢や動脈硬化のほかに感染症もあげられています。また、心臓弁膜症がある人は、命の危険もある「感染性心内膜炎」が起こりやすくなることがわかっています。

 

感染性心内膜炎って?

心臓の内側を覆っている内膜に細菌などが感染して炎症が起こる病気です。発熱などの症状が現れ、治療が遅れると心不全を引き起こしたり、心臓の中にできた細菌のかたまりが脳に流れ込んで脳梗塞の原因になったりすることがあります。

出血をともなう歯科治療が最大の要因とされているため、心臓弁膜症のある人は、事前に抗菌薬を使って予防する必要があります。

 

 

「フッ素」でむし歯に負けない強い歯を!

むし歯菌がつくる酸が歯の硬組織成分であるリン酸カルシウムの結晶を溶かしてしまうことを「脱灰」といいます。脱灰は食事の際に口腔内が酸性になると起こりますが、唾液中の中和作用と唾液中のカルシウムによって「再石灰化」が起こるので、脱灰と再石灰化のバランスがとれていれば、むし歯は生じません。

フッ素は歯のカルシウムと結合することで脱灰を抑え、再石灰化を促進する作用があります。フッ素配合の歯みがき剤を使って、むし歯に負けない歯をつくりましょう。