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歯に加わる力

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力は目で直接見ることができず、取り組みにくいものであるが、歯列や咬合に現れてくるので注意して診る必要がある。

歯は萌出時に舌骨と頬筋の力の均衡する位置に萌出してくる。

その考え方を「ニュートラルゾーン」と呼んでいる。

しかし、なんらかの原因で力のアンバランスが起こると、歯・歯列の位置が偏位する。

その原因は、口腔外の力(外力)と口腔内の力(内力)に分類できる。また、強い力、弱い力に分類できる。

強い外力として代表的なのが事故などの過大な力である。

強い内力がいわゆるブラキシズム(グラインディング、クレンチング、タッピング、かみしめ、歯ぎしり)である。

特にTCH(歯列接触癖)には注意が必要である。

弱い内力には口呼吸圧などがあり、弱い外力としてはさまざまな態癖などが考えられる。

態癖のうち、頬杖などの態癖は中等度の外力であると言える。

こういった力は、大きい力では比較的早くに、小さい力では遅くに、影響が生じると考えられる。

強い内力の代表であるブラキシズムは、昼間の大脳辺縁系におけるストレスを解放するために夜間に行う噛みしめである。

もう一度言うが、ブラキシズムは、昼間の大脳辺縁系におけるストレスを解放するために夜間に行う噛みしめである。

ブラキシズムによって歯は摩耗し、歯肉は退縮し、顔面頭部や顎の骨は異常に発達する。

また、顎関節は肥大化し、咬筋・頸部筋・頸椎なども発達し、大脳が刺激され、眼、鼻、耳まで影響が及び症状につながる場合もある。

内力はまた、歯が非機能的形態(平坦な咬合面、する減った歯のかみ合う面)をしていても大きくなる。

のこぎりの歯がすり減って丸くなり切れ味がわるいと、のこを引くのにとても大きな力が必要になるのと同じ理屈である。

弱い内力としては、口呼吸などがある。

哺乳期に十分な期間授乳することで鼻呼吸が確立し、同時に舌圧が切歯乳頭付近(上の前歯の裏側辺り)に集まる。

しかし、成長期に低位舌、鼻づまりなどがきっかけで口呼吸になると、鼻腔が劣成長となる。

口呼吸では呼吸抵抗が小さく呼吸筋(横隔膜や肋間筋)が発達せず、呼吸力の低下が起こってくる。

哺乳期から成長の為に母乳を与え、母子の絆を強くするとともに鼻と呼吸筋などを鍛えることが大切である。

口呼吸の患者は上顎に舌圧が加わらないので、上顎の発育が悪く、開咬となることもあり、MFT(口腔筋機能療法)を行うとともに歯列・咬合を整え、正しい呼吸を覚えさせることが重要となる。

口呼吸の弊害としては免疫力低下もあげられる。

咽頭部のリンパ組織を「リンパ咽頭輪(ワルダイエル咽頭輪)」と言うが、組織表面が湿潤していると白血球の遊走が起こり、初期の感染が感知されて免疫機能が働くと言われている。

 

しかし、口呼吸のためにリンパ組織表面が乾いていると、白血球の遊走が不十分で免疫機能が十分に働かないため、口呼吸の人は免疫力が弱いと言われている。