口呼吸から起きる免疫異常
口呼吸からなぜさまざまな病気が生まれるのでしょうか。多くの人が抱く疑問です。顎顔面の形態異常は理解しやすいですが、全身への波及となるこのつながりは、口腔の奥に存在する口蓋扁桃が関係しています。
扁桃は病原体侵入を防ぎ、体を守る器官
ヒトの扁桃は他の動物と比べてもとても大きく、これは口呼吸するようになった代償と考えられます。のどの奥にワイダエル咽頭輪と呼ばれる輪のように並んだリンパ組織があります。その中でもとくに口蓋扁桃最大であり、他の抹消リンパ組織や構造が違うのが特徴です。表面は、中心部に向かってたくさんの落ち込んだ「陰窩」と呼ばれる構造をしており、これが輸入リンパ管の役目を果たしています。そのため扁桃の実際の表面積は6.5倍あると言われています。それだけ広い面積を使って異物に対抗しているのです。面積が広いことは防御によいのですが、時に外敵の侵入を許してしまうことにもなりかねません。
IgA腎症掌蹠膿庖症も、はじまりは口呼吸だった!
診療中に扁桃を観察すると、白い塊が付着しているのに気がつくことがあるかもしれません。それを「膿栓」と言います。ときどき自分の口からぽろっと出てくるという人もいるでしょう。扁桃は、防御機能を持ちながら慢性感染症にさらされているという二面性を持つ臓器で、膿栓が付着しているのは、慢性扁桃炎に対する免疫反応です。
扁桃で慢性炎症が持続すると、リンパ球の活性化により液性免疫グロブリンであるIgAが産生されます。
これを難しい言葉で病巣疾患(病巣感染症とも)といいます。病巣疾患とは、「身体のどこかに限局した慢性炎症があり、それ自体はほとんど無症状か、わずかな症状を呈するに過ぎないが、遠隔の諸臓器に、反応性の器質的および機能的な二次疾患を起こす病像」と定義されます。
小さな症状のない炎症が、他の臓器にその炎症を飛び火のように持って行ってしまうわけです。口呼吸は、慢性扁桃炎の原因となり、それがさらに次の病気を引き起こすことにより悪さをするのです。またそれだけではなく、歯並びの悪化、虫歯の増加も起こします。もちろん口の中が冷えることにより低体温にもなりますし、口腔乾燥状態は外敵の侵入を容易に許してしまう口腔粘膜をつくってしまいます。
口呼吸をしていて一つも良いことはありませんね。
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