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「良い入れ歯」は認知症を予防する

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認知症になりやすい人

歯が悪い人にはあまり嬉しくない話かもしれませんが、歯がなくなって噛む力が弱くなるほど、認知症になりやりやすいというデータがあります。

藤沢市で行われた調査によりますと、一般の老人ホームに入居する高齢者でと、認知症で病院に入院している患者さんの噛む力を比べました。歯の悪い人、よく噛めない入れ歯を使っている人には、とても気になる結果がでたのです。認知症のお年寄りには、一般の高齢者の2倍も、咀嚼不良が見つかっています。

九州大学で行われた別の調査でも同じ結果になっています。噛む能力がいちじるしく劣るお年寄りでは、認知症の出現率が平均の6倍にも達していたのです。噛めない歯とボケは、どこかで結び付いているようです。

認知症予防は咀嚼能力のアップ

30年ほど前に日本は、高齢化社会を迎えたと話題なりましたが、今はそれをはるかに超えた超高齢社会を迎えています。超高齢社会を迎えたゆえに認知症などの脳機能の低下という新しい問題がでてきました。歯科医には病院や老人施設、在宅のお年寄りの歯を治療する機会もあるのですが、認知症の患者さんをみるたびに、超高齢社会を乗り切る難しさを感じてなりません。

いま認知症になっているのは、戦争と戦後の大変な時代を生きた人たちです。日本を経済大国に押し上げ、こどもも立派に育て挙げた人たちが幼児のようになっている。悲しいことですね。しかし悲しんでばかりはいられません。今は高齢者と呼ばれていない人も歳を重ねるとそうならないという保証はどこにもないのです。

安心して老いを迎えるには、ボケない対策がいまから必要ですが、認知症対策のひとつとして、最近注目されるようになったのが咀嚼能力のアップです。

認知症には、ふたつのタイプがあります。脳の細い血管かが少しずつ詰まって栄養や酸素が送れなくなり、しだいに脳細胞が死んでしまう脳血管性。もうひとつは、まだはっきり原因のわからないアルツハイマーです。日本人に多いのは小さな脳梗塞を繰り返してできる脳血管性の認知症です。

では、どうして咀嚼能力のアップが注目されているのでしょうか。

歯が悪くなると、噛む回数が減ります。食べ物が噛みにくくなり、やわらかな食品や流動食が多くなりますから、顎を動かして噛むか作業が減ってきます。噛まなくなる、顎を動かさなくなることが、ボケの発症と関係しているらしいのです。

噛めば噛むほど脳へ血流量が増加する

顎の筋肉を、「もうひとつの心臓」と呼ぶ専門家がいます。顎の関節の近くに、は脳へ血液を運ぶ大事な血管があり、しっかり噛んで顎をよく動かすと、この血管が刺激され、脳の血液循環がよくなります。ちょうどそれが、血液を送り出す心臓ポンプの働きと似ているのです。

ですから噛む作業の少ない人は、このポンプの助けがなくなりますから、脳の血液循環が悪くなりやすいのです。痴呆症の患者さんに歯の悪い人が多いわけが、おわかりいただけるでしょう。

よく噛める健康な歯を、いつまでも保つことがボケ予防には大切なのです。もし、健康な歯を失ってしまったら、入れ歯がその役目を果たすことになりまし。しかし軟らかい物しか口にできないようなものではいけません。ピッタリと合って、硬いものもよく食べられる、よく噛める入れ歯が必要です。

自前の歯で入れ歯でも、よく噛めることがだいじです。硬い物をしっかり噛む、そのいきいきした顎の力が、脳へ勢いよく血液を送るポンプの働きをします。噛めることが認知機能低下予防に役立つのです。

細胞も活性化する

よく噛めるいい入れ歯に変えただけで、認知機能が向上したり、通常のひとほとんど変わらない生活に戻れることがあります。噛めるようになることで脳が刺激され、ほかの脳細胞が活性化して、失われた脳細胞の働きをカバーすると考えられています。けれど脳細胞の活性化なんて、そんなに簡単にいくのでしょうか。じつは脳梗塞の患者さんが行うリハビリも、体の筋肉を動かすことで脳細胞に刺激を与え、活性化を促す訓練なのです。入れ歯を作り合わせることもリハビリととらえ専門用語では、口腔機能リハビリテーションと呼んでいます。

とりわけ口は手とともに、大脳の広い範囲に刺激を伝えます。

「よく噛むと頭がよくなるから、しっかり噛みなさい」

子どものころ、お母さんにそういわれたことを思い出す人もいるはずです。

よく噛む子は頭が良いというのは、理由のないことではありません。顎や舌、唇を動かす筋肉は、大脳の広い範囲に影響を与えまし。よく噛むことによって脳細胞が、いわばゆさぶられ、活性化するのです。いい入れ歯をいれただけで、認知機能が向上するお年寄りの場合もこのメカニズムが働いているようです。

認知症予防策のひとつは、よく噛んで食べることです。しかし歯が欠けていたり、悪い入れ歯で咀嚼力が低下していれば、噛むに噛めません。脳細胞の健康のためにもしっかり噛めるいい入れ歯が必要になってきます。

歯が無いにも関わらず入れ歯を使っておられない方や入れ歯が合っておらず、ちゃんと噛めておられない方は、良く噛める入れ歯を作って、使いこなされることをお勧めしております。