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口腔内スキャナーを用いた直接法補綴物作製法

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口腔内スキャナーを用いた直接法補綴物製作の方法

CADCAM冠というデジタル化された補綴物の製作手法が保険に導入され約7年が経過しました。当院でも7年で多くの患者さん装着させて頂き、良い結果を得ています。CADCAM冠の一番のメリットは、白い歯と同じ色をしているところにあります。患者さん自身の歯に合わせた色に出来るので、外から目立つことが無くなりました。また、金属を使っていないので、金属アレルギーに対してもとても安心です。保険適用ですし、費用においても金属で修復する場合とそれほど変わらないと言えるでしょう。最初は、適用されるのに様々な制約がありましたが少しずつ無くなり、今月(2023年11月)からは、制約なくすべての大臼歯に適用できる材料も保険に導入されたため保険適用で金属を全く使わずに歯の治療も可能となったのです。

今のところ従来の金属製のかぶせ物同様に歯型を採って作った石こう模型を技工士に送り、その模型を正確にスキャナーでスキャンしてSTLデータという立体データをつくりパソコン上に立体画像として映し出した映像上で設計したCAD/CAM冠のデータをミリングマシンと言われる削り機に送り、ブロックと呼ばれる既成のハイブリッドセラミックスの塊りをその形に削り出しての製作する方法であり、現在多くの歯科医院で行われています。

模型をスキャンしてデータを興すことが、保険収載されたために現在は、主流となっていますが、従来の型取りからの石こう模型からよりも直接口腔内をスキャンしてデータを興す方が、ひと手間少なく、しかも正確なので本来世界標準では推奨されている方法なのです。この方法を口腔内スキャナーを用いた直説法補綴物作製法と呼んでいます。

日本では歯科メーカーが提供するクローズドシステムが初期にはもてはやされました。各メーカーが持つオリジナルのCAD/CAMシステムや材料によって制作されユーザーは比較的簡便に使用することができます。しかし詳細設定や指定した事以外の使用が難しく自由度にかける上、高コストになることが難点です。
今、広がりを見せているのが、オープンシステムです。欧米では先行して普及しています。ユーザー主導型でスキャナー、CAD/CAMシステム、加工機、材料などが自由に組み合わせられるため汎用性や拡張性が高く、様々なケースに対応が可能です。自由に使いこなすためには、ユーザー側の高度な知識と経験が必要とされます。

クローズドシステムとしては、自費中心ですが、one day trearment(即日修復治療)と呼ばれる院内完結型のCAD/CAM冠製作方法も一部の歯科医院で取り入れられ行われています。この方法は口腔内スキャナーとリミング機器がセットになっていてマニュアル通りに行うと口腔内スキャンからCAD/CAM冠作製装着まで一日で完結できる方法です。

それに対してクローズドシステムは、歯科医院で患者さんの口腔内をスキャンして得たデータを技工所に送信し、知識と技術に長けた技工士の手による精密な設計がなされ、出来上がったCAD/CAM冠などの補綴物のデータを高性能ミリミングマシンや3Dプリンターを用いて実物を作り上げる方法です。現在は、保険中心の模型をスキャンして作る方法が主流ですが、今後は、口腔内スキャナーを用いて直接口腔内をスキャンして作る直接法が主流になっていくことは、間違いないでしょう。また、クローズドシステムより汎用性拡張性の高いオープンシステムが普及していく可能性が高いと思われます。

ここからは、実際の臨床例を紹介すさせて頂きます。

 

①模型のスキャニングからのCAD/CAM冠の作製

模型をスキャニング

口腔内の歯型採りをして製作した石こう模型を、丁寧に作った上で大型の卓上3Dスキャナーでスキャンしてデジタルデータ化する。

パソコン画面で口腔内の診断、補綴設計、モックアップ

模型の映像が、パソコン画面に映し出された状態にモックアップという削られた歯の形を元のように回復させる操作を行います。この時間違って形態を整えたとしても、削合部位と盛る部位のデータが表示できるため、診断が容易で確認しやすいです。画面上なので、模型を削らずに操作でき、もし間違っても元に戻ることができ何度でもやり直せることが大きなメリットです。モックアップデータは歯科医師と歯科技工士がいつでも共有でき、ネット環境が整っていれば、クラウド上の映像を確認することが出来る上、パソコン操作で容易に形態の変更が可能となっています。

精密な咬合を作る

上下の歯どうしの理想的なかみ合わせが合う点が正確に付与できて上下顎の歯どうしのかみ合っている関係を3D画面上で確認できます。

モックアップデータを用いて。ミリング時ングマシンでCAD/CAM冠(補綴物)製作

モックアップが完成して歯冠形態や咬合状態に問題がなければ、そのデータをミリングマシンに送り、ブロックと呼ばれる既成のバイブリッドセラミックの塊りを削り出してCAD/CAM冠を作製する。

同じデータを用いて最終補綴物を作製前にプロビジョナルレストレーションを製作することも可能であり、プロビジョナルレストレーションをまず作製装着したのち、経過観察後、不具合が全くなければプロビジョナルデータをそのまま使い、最終補綴物を製作します。不具合があればデータの修正後に作製することも出来ます。ミリング時に冠の内面の適合性を調整して設計しておくことで、口腔内での装着もスムーズに行うことが出来る。

 

 

②直接法でCAD/CAM(天然歯)を作製する

口腔内で口腔内スキャナーを用いてスキャンしたデータからの口腔内の診断・補綴物の設計

口腔内スキャンしたデータをもとに、3D画像で仮想の咬合器に装着された状態で咬合診断を行うことが出来ます。三次元の方向から観察が可能であると同時に、カラー表示もできるため、石膏模型よりリアルな映像を基にに口腔内の状況がイメージできる。

パソコン画面でモックアップ

パソコン画面の映像上でモックアップ作業を行います。三次元的に形態の確認ができ、理想的な咬合関係を確認できます。修正もよりリアルであり、これまで手作業で行ってきたWAX UPに比べて技術習得も作業自体も容易である。

モックアップデータからリミングマシンを用いプロビジョナルレストレーションを製作

直接法の大きなメリットは、術前の口腔内スキャニングデータを用いることで、診断の資料となり、治療計画からモックアップ、プロビジョナルレストレーションの設計と製作までも一気に進められることです。モックアップしたデータからミリングマシンで完成させたプロビジョナルレストレーション(仮の歯)は、模型を製作していないため、口腔内に試適するまでは適合確認ができないことはデメリットの一つです。

プロビジョナルレストレーションの装着

プロビジョナルレストレーション(仮歯)が完成したら、前歯、右奥歯、左奥歯の3つのブロックに分けて歯の形を削って整え内面の隙間を同様の流動性のある材料を流して固め合わせたのち表面がスムースになるように磨いたうえ装着する。もともとかみ合わせは精密に調整されていたものなので咬合調整もわずかで装着することが出来ました。

補綴物製作のための口腔内スキャニング

口腔内スキャンをする時は、口腔内とパソコン画面の両方を見ながらスキャンしていく。プロビジョナルレストレーションを装着後、十分に経過観察を行った後、再度口腔内スキャナーを使用していて、こんどは補綴物製作のための口腔内スキャンを行う。スキャニング前の口腔内の状態とプロビジョナルレストレーションのデータを参考にして、直接法により、CAD/CAM法でセラミック冠を製作する。

3Dプリンターで製作した作業模型上での試適

今回は材料としてジルコニア冠を選びました。全てをジルコニアで作ったフルジルコニアではなく、目に触れる部分にセラミックを焼き付けるレアリングを採用したため、口腔内スキャンデータを用いて3Dプリンターで支台歯分割可能な作業模型を製作しました。歯とジルコニアセラミックの境目部分も明確に再現されているのが確認できる。3Dプリンターで製作した模型にCADCAMでミリングしたジルコニアセラミック冠を試適、各支台歯での適合は良好である。隣接面コンタクトは無調整で模型に適合している。口腔内と3Dプリンター模型の比較、口腔内スキャナーの弱点は、深い縁下マージンの読み取りが難しいことと唾の影響を受けることそして金属冠の反射の影響である。失活歯で境目が歯茎の中深くなる場合には、歯茎を排除する圧排という作業をしっかり行ってマージンラインを鮮明にすることを従来のシリコンゴム印象法の時以上に行うことが求められる。上記に上げた欠点は、今後口腔内スキャナーの能力向上により少しずつ解決されることに期待したいところです。今のところしっかりと圧排作業を行いやや深い縁下マージンでも鮮明な画像データが得られるよう努力が必要になります

間接法により製作した作業模型上での試適

今回は間接法の模型の精度を確認するために従来の印象方法を用いて間接法の作業模型を製作した。直接法で製作したジルコニア冠を、間接法の模型に試適してみると、意外な結果がみえてきた。3Dプリンターで製作した模型は間接法の模型と比較して、作業模型としての操作性は劣らない。直接法で製作したジルコニア冠を、間接法で製作した模型に試適してみると、冠と模型のマージンラインが合わず、浮き上がりが確認できる。口腔内に試適するまでは冠の精度不良か模型の膨張変形が原因なのかを判断することはできない。間接法の模型上では隣接面のコンタクトもきつく合わないため、浮き上がりがさらに大きくなっている。

口腔内への試適

口腔内に直接法で製作したジルコニアCAD/CAM冠を試適すると、抵抗なく装着できた。マージンライン部のチェックをしたが、良好な適合でギャップもない。デンタルフロスで確認すると、隣接面コンタクトも良好である。咬合状態は咬合接触点の調整をせずに済むほど良好である。口腔内に試適した状態で咬合チェック、内面調整、コンタクト、咬合調整はいっさいおこなっていない。口腔内で内面の適合チェック、今回はCAD/CAM冠のセメントスペースを30μmに設定して製作している。ブルーシリコーンという内面の適合審査剤を用いて直接法で製作したジルコニア冠の内面の適合性を観察すると、はぼ均一に適合していることが確認できる。CAD/CAM冠のミリング方法の特性であるが、冠内面の天井部はやや厚めになり、側面はかなり薄く適合しているのがわかる。

最終補綴物の製作(ジルコニアセラミックス)

3Dプリンター模型上で、完成したジルコニアセラミック冠の適合状態を確認。口腔内で完成したジルコニアセラミック冠の適合状態を確認すると良好であった。

前歯部補綴も同様の工程で製作

3Dプリンターの作業模型、スキャンデータを用い、3Dプリンターで支台歯分割式の作業模型を製作、作業模型としては十分な精度である。支台歯も可撤式で作業しやすく、動きも少ない。口腔内に前歯部の補綴冠を試適してみると、隣接面コンタクトや内面調整を行うことなく良好に適合した。

上顎全体を治療するケースを直接法で行ってみましたが、診断・治療計画がスムーズに行え、モックアップ、プロビジョナルレストレーションの製作、調整も容易で、フルジルコニアセラミック冠も間接法と変わりない仕上がりで、調整時間も少なくチェアタイムを大幅に減少させることが出来ました。

上記2つの症例を通じて言えることは、口腔内スキャナーを用いた直接法による補綴物作製は、工程に慣れることが出来れば、すべての点で、従来法を上回る利点の宝庫であることだろう。

いえさき歯科でも今後さらにデジタル化した補綴物の作製法を少しずつではあるが改良を重ね進化させていきたい。

 

この記事のお問合せ先:阿倍野区西田辺のいえさき歯科

HP:www.iesaki.net

電話:06-6624-4500