スプリント療法について
顎関節症は、虫歯、歯周病と並んで歯科の3大疾患に数えられています。有病率の高い病気とも言われています。
日本では20代から30代の女性で発病率が高いと言われますが、若い女性が症状を持つことが多く目立っているだけで、私の臨床中では、大きな症状のない隠れ顎関節症の方もかなり多くおられるのが実感としてあります。
今回は、顎関節症の治療法、そして治療のアイテムとしてよく使われる「スプリント」についてお話します。
顎関節症を訴えて、多くの患者さんが、いえさき歯科に来院されますが、治療法の第1選択は、スプリント療法となります。
スプリントには、多くの種類があり、患者さんの訴えを良く聴き、CTやレントゲン、スタディモデル、口腔内写真など多くの資料をとらせて頂き、正確な診断のうえ、その患者さんに最も適したスプリントを選び装着しております。
顎関節治療用のスプリントは、保険適用で作ることができます。
スプリント療法とは?
バイトプレート、マウスピース、アプライアンス、シーネなどといろいろな名称がつけられている歯科用プラスチックである「レジン」などで作られた取り外しの出来るの「装具」の総称がスプリントです。スプリントには、いろいろな形状があり、使用する材料にも種類があります。
⑴前歯接触型
上あごか下あご、あるいは上下の前歯を部分的に覆う形のスプリントです。咬みしめによっておこる「咀嚼筋(そしゃくきん)=顎を動かす筋肉のこと」」の過緊張を収めることを目的に使用されます。咀嚼筋痛障害に主に使用されます。
⑵全歯列接触型
①上顎応用型
②下顎応用型
③上下両顎応用型
上顎もしくは、下顎または上下の歯並び全体を部分的に覆う形のスプリントで、「スタビライゼーションスプリント」と呼ばれます。このスプリントは、前歯接触型の筋肉の緊張緩和に加えて、全部の歯が均等に接触するように調整するため、顎の位置が安定することで症状を緩和させることを目的に適用されます。顎関節症1型に分類される、主に筋肉の緊張が主な原因の場合に効果が得られます。
⑶ リポジショ二ング型
①前方整位型
上あごか下あごのどちらかの歯列全体を覆う形をしていますが、「スタビライゼーションスプリント」との違いは、前歯の裏側に、下顎を適正な位置に誘導するフラップという出っ張りがついています。
②ピポット型スプリント
リポジショニングスプリントの一種であり、上下顎いずれかの全歯列咬合面を被覆するが、左右最後臼歯部の咬合面に突起(ピポット)を有し、この突起のみにより対合歯と接触するように製作する。