歯周病と血糖値の関係について
日本人の20人に1人が糖尿病です。さらにこのまま増加していくと、成人5人のうちに1人が糖尿病になるという予想もあります。食べ物が豊富になり、糖尿病と肥満が爆発的に増えたわけです。糖尿病になると体がだるいだけでなく、合併症と云われる網膜症や腎臓病などの全身性の疾患に悩まされることになってしまいます。
私たちの血液中のブドウ糖の量すなわち血糖値は、膵臓で作られるインスリンというホルモンによって調節されています。インスリンは血糖値を下げる働きを持っています。糖尿病は、Ⅰ型糖尿病とⅡ型糖尿病に分けられます。
Ⅰ型糖尿病はインスリン分泌がなくなり血糖値が上昇して発症します。
Ⅱ型糖尿病は喫煙、肥満、運動不足などの生活習慣から発症し、インスリン分泌がなくなった上にインスリン注射をしてもよくならない、インスリン非依存性糖尿病といわれています。糖尿病の95%がⅡ型糖尿病です。
糖尿病になると体中の微生物と戦う機能が極度に弱くなってしまいます。ですから、歯周病原菌に対しても戦うことができず、一方的に歯周ポケットの細菌を増殖させてしまいます。したがって、糖尿病になった人ほど口の中の細菌の増殖を許さないように、口腔清掃を徹底し、定期的な口腔診査を受け、治療をしなければなりません。
最近、歯周病があると糖尿病を悪くさせることがわかってきました。そしてまた、歯周病をきちんと治療することによって糖尿病が改善されるという報告が米国や日本の研究者によってなされています。
肥満も歯周病に関係していることが、日本の研究者によって発表されました。肥満は、糖尿病、高血圧、高脂血症、動脈硬化、虚血性疾患など、さまざまな全身疾患と関連することがわかっています。私たちの体にある脂肪細胞は、単にエネルギーの貯蔵庫だけではありません。食欲をコントロールするレプチンという物質を作る働きもしています。肥満→糖尿病→歯周病という流れがありますが、歯周病の治療もまた逆方向へ働くことがあります。すなわち、歯周病のある人の治療をきちんとすると血液中の糖の量が減り、糖尿病が改善されることがわかりました。
糖尿病は、さまざまな病気を誘発するとても恐ろしい病気です。遺伝的な要素もありますが、食べ過ぎや飲み過ぎ、運動不足などが原因の生活習慣病であることを改めて伝えておきます。