唾液をたくさん出した方が良いですよ!
ハンバーグとスルメ、どちらを食べた時に、より多くの唾液が出るのでしょうか?
ハンバーグは柔らかいですが、スルメはかたい食べ物ですね。咬む回数は、食品に含まれる水分が関係しています。スルメなどの水分の少ない食べ物は、よくかんで唾液が出なければ飲み込めませんが、ハンバーグはあまり咬まなくても飲み込めます。
野生のサルが食べている木の実も、かたくて水分が少ないです。よくかんで食べるので、唾液がたくさん出てむし歯が少なかったのです。なので、かたいものを食べてたくさんかむことが大切です。唾液をたくさん出すためには、口の使い方にコツがあります。それは口を大きく動かすことです。そうすると、自然とかむ回数が増え、唾液がたくさん出てきます。
口を大きく動かすためには、食材を大きく切ることです。前歯は包丁の役割をしています。調理する時に、食材を細かく切ってしまうと前歯を使いません。それではあまり口を動かさないので、かむ回数が減ってしまいます。食べ物を前歯でかみ切り、奥歯でかみ砕き、唾液と混ぜ合わせて飲み込みます。前歯と奥歯の両方を使ってかみましょう。
よくかむと唾液がたくさん出ることがわかりました。それではもう一つ質問をします。
かみごたえがあって唾液がたくさん出るのはどちらの食べ物でしょうか
①和食・洋食
②野菜炒め・野菜スープ
③炊き込みご飯・うどん
洋食のほうが柔らかい食べ物が多い気がしませんか?
正解は、和食・野菜炒め・炊き込みご飯、です。
ハンバーグやカレーライスのような洋食よりも、和食のほうが野菜をたくさん使うので、かむ回数は増えます。洋食のときは食材を大きく切ることをオススメします。
口を開けたり閉めたりすると、ポンプ作用で耳下腺から唾液が出ます。かむと唾液が出るのはこのためです。舌を動かすと、舌下腺や顎下腺がよく動いて唾液が出ます。
口や舌をよく動かすために福岡の今井先生が考案された「あいうべ体操」があります。
あいうべ体操をすると唾液がたくさん出ます。
あいうべ体操
①「あ」の口でのどの奥が見えるくらい大きく口を開ける
②「い」の口で前歯が見えるくらい口を横に広げる
③「う」の口で唇を前に突き出す
④「べー」の口で舌先があごにつくぐらい舌を下に出す
昔から“唾液の多いお年よりは長生きする”“唾液の多い赤ちゃんは健康に育つ”と言われていましたが、それは本当のことだったのです。
最近、水やお茶を飲みながら食事をしている子どもたちが多く見られます。飲み物で流し込んで食べていると、体は唾液を出す必要がなくなります。この食べ方が唾液の減少に繋がっていると思います。かつて日本では、食事中にお茶を飲むと“行儀が悪い”と言われていました。“サザエさん”のマンガでも、食卓に湯飲みが置かれていません。そして食事が終わった後に、全員でお茶を飲むシーンが描かれています。これが日本の食文化として根付いたと思います。
ところが現在、ファミリーレストランなどに行くと、まず水が出てきます。これは、“水を飲みましょう”という意味ではなく、注文を取りに来たという目印なのです。
ヒトの体の多くの組織は、20歳頃をピークに迎えます。唾液腺も同じです。若いころにピークを高めておけば、高齢になってもたくさんの唾液が出るに違いありません。しかし、唾液腺のピークが低ければ、早い時期から唾液が出にくくなります。すなわち、水やお茶で流し込み食べをしている子どもたちは、唾液が不足し困る可能性が高くなります。それを防ぐためにも、子どものころから、食事中の水やお茶を控え、よくかんで食べる習慣が大切です。
唾液の量は健康のバロメーターとも言われています。普段の生活をちょっと気をつけるだけで、健康な生活を手に入れることができます。そしてこの生活を続ければ、健康で長生きができるです。