お知らせ

鼻呼吸VS口呼吸

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ヒトの1日の呼吸回数は2万回です。量にして1万L、21m四方の大きさですから6階建てのビルほどになります。重さにして約15kgにもなります。では呼吸する場が、たとえば幹線道路沿いや工場地帯と、きれいな高原ではどんな違いがでてくるのでしょうか。

体に取り込まれる空気は、やはりきれいな方がいい

環境の悪い場所では、細菌や微生物とは違ったさまざまな微粒子が鼻や口から咽頭を通り肺胞まで届けられ、そして排出されます。鼻呼吸では、直径15μmの大きさの粒子はほぼ漉し取られ、5μmになると2割ほどに減少すると言われます。盛んに問題となっているPM2.5は直径2.5μmのことですから、とても小さいので素通りしている可能性があります。PM2.5で心筋梗塞や流産のみならず、うつどの心身への悪影響が報告されていますが、鼻でも満足に漉し取ることができなければ、口呼吸では想像もしたくないことが肺の奥のみならず体中で起きている可能性があります。きちんと咀嚼されない食べ物が胃腸へ送り込まれるのと同じで、事実、交通の多い場所でのウォーキングは、心肺機能を損なうという報告もあります。

換気も優秀な鼻呼吸

大気中の酸素濃度は21%で、吸ってはいたときには17%前後に減少します。ヒトの1回換気量を500mlとすると、150mlは死腔です。呼吸細気管支から肺胞までの350mlが実際の呼吸に使われます。口呼吸は浅く速い胸式呼吸となりますので、1回換気量を400mlとして、1分間の換気量を比べてみます。鼻呼吸では1分間に12回、口呼吸では15回行われるとすると、鼻呼吸が500ml×12回、口呼吸では400ml×15回で同じ6lとなります。ところが死腔がありますから、実際に使われる空気の量は、次のとおりです。

呼吸の際に酸素よりも二酸化炭素が移動しやすいので、口呼吸では血中二酸化炭素濃度が減ってしまいます。すると脳の血流が反射で低下します。過呼吸などで意識消失などを来すのは、急激に二酸化炭素が減少した結果なのです。口呼吸は気道抵抗が少ないため浅速呼吸になります。きちんと横隔膜を使うためには、鼻の気道抵抗が鍵となります。気道抵抗があるために鼻呼吸はきつく感じるのです。